Epic Rap Battles of History徹底解説

海外発のYouTubeシリーズ、Epic Rap Battles of Historyを日本語で解説します。

【EPICラップバトル解説】神対決 ゼウス vs トール (1of3)

Season 4 ep3 Zeus vs Thor

神対決!2014年11月24日公開

 

LEGOのストップモーションを用いるという、ERBでは初の試みが行われました。ERBで新しい動画が上がる際、サムネイルと曲は先にリークされてしまうのですが、当初のサムネイルは雷とハンマーのイラストだけで、LEGOであることは全く明かされていませんでした。(現在はLEGOキャラクターに差し替えられています) つまり、視聴者は実際に動画を再生する最後の最後までLEGOであることはわからなかったわけです。

LEGOの意外な登場により賛否両論はありましたが、クレバーなジョークとくだらないしゃれの混合、そしてあまりにも真剣な戦いっぷりにより高い人気を誇っています。

 

  • ゼウス(Zeus) - 演者 : Nice Peter(声)

ギリシャ神話の主神であり、オリュンポス十二神のひとり。

  • トール(Thor) - 演者 : EpicLLOYD(声)

北欧神話の神。「マイティ・ソー」の主人公はトールがモデルである。

 

 

リリック解説

 

[Zeus 1st verse]

 

 

How dare you challenge my immortal throne?

(我の不滅の王座に歯向かうとはな)

ゼウスをはじめとするギリシャ神話の神々は不老不死なので、ゼウスの神々の王としてのポジションも不滅だということを言っています。

 

I'm the father of the gods! Put your daddy on the phone!

(我は神々の父だ!パパに代わってくれるかな?)

ギリシャ神話での神々の父(主神)はゼウスですが、北欧神話での神々の父(主神)はトールの父親オーディンです。つまりゼウスは「自分にふさわしい相手はお前ではなくお前のパパだ」と言っています。”Put your daddy on the phone”というのは電話先の相手が子どもだったときに使われるフレーズというイメージがあります。トールを子ども扱いしているということです。

 

Maybe Odin could beg me for a truce, 'cause when Zeus lets loose,

I'll put your cross-dressing neck in a noose!

(オーディンは休戦を乞うかもな。

ゼウスの力が解き放たれれば女装野郎は首吊りになるからだ!)

北欧神話で、トールは巨人スリュムに自分の武器である雷槌ミョルニル(ハンマー)を盗まれてしまいます。スリュムは「フレイヤと結婚させてくれればハンマーを返してやる」と条件を出しますが、フレイヤは拒否。そこでトールが女装してスリュムのところへ行くことになったというくだりがあります。それをゼウスは馬鹿にしています。オーディンは先程も登場したトールの父です。

 

I'm like Medusa: I stone a mother fucker if he looks at me wrong!

(気に食わないクソ野郎はメドゥーサのように石にしてやる!)

メドゥーサとは、ギリシャ神話の怪物で、目が合った者を石化する能力があります。それと同じようにお前も石化してやる、と言っています。

 

I'm a bull getting bitches with my swan schlong!

(我は白鳥の×根で女を抱く牛だ!)

ゼウスの2つのエピソードが基となっています。

1. ゼウスは白鳥の姿になりレーダーと浮気をした。

2. ゼウスは雄牛の姿になりエウローペーを連れ去った。

ゼウスは、自分がやり手だということを自慢しています。

さらに”swan schlong”はしゃれになっています。”long p*nis”という意味のスラングの”schlong”が、「辞世(の句)」を表す”swan song”とかかっています。

 

I'm on point like Poseidon's trident!

(我はポセイドンの槍のように圧倒的だ!)

ポセイドンとは、ゼウスの兄であり、海を司る神です。ポセイドンはトライデントという三叉槍で支配を行っていました。

 

Rhymes colder than the frosty balls of your giants!

(冷ややかなライム まるで巨人の霜降り金×)

北欧神話では、トールは霜の巨人(frost giants)と戦います。先ほど出てきたスリュムもそのひとりです。ゼウスは、この霜の巨人の金×と自分の冷徹なラップとを比較しています。

 

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[Thor 1st verse]

 

 

Allow Thor to retort, you shape-shifting rapist,

(トールの反撃を喰らえ、この変幻自在の強×魔!)

ゼウス1stバースの「swan schlong」のラインでも出てきた通り、ゼウスは様々な形に変化して女性と不貞を働いています。トールはそのことをDISっています。

 

And get a taste of this Scandinavian greatness!

(そしてこの偉大なスカンディナビアの味を知れ!)

スカンディナビアは、北欧の半島で、北欧神話発祥の地です。トールは、自分のラップでスカンディナビアの凄さを知れ、と言っています。

 

Brought forth by my raging thunderstorm force,

(この怒りの雷槌で生み出したのだ!)

トールの武器は雷槌ミョルニルです。

 

'Cause I don't get nice. I get Norse! (Noirse!)

(我はナイスではなくノースだ!(ノーイス!))

これはだじゃれで、「自分は優しいヤワなラッパーじゃない(niceではない)」「北欧(Norse)の力強いラッパーだ」ということを言っています。「noirse」は「nice」の訛りのようなものらしいです。(ちょっとこのへんは曖昧) ここで「noirse!」と言っているのはロキです。

 

Valhalla-atcha boy and we'll flyte it out,

(ヴァルハラアッチャボーイしたら侮辱の詩で戦おう!)

これは和訳しづらいので説明します。まず、「Holla at you boy!」で、「今から会おう」「また会おう」というスラングになります。それと北欧神話の宮殿「ヴァルハラ」がかかっているのです。さらに「fight it out」(戦おう)が、「flyte it out」にもじられています。flyteとは、北欧の神々が行っていた相手を侮辱する詩で競い合うという、まさに現代のラップバトルのような競争のことです。

 

But keep your Asgard up; I Ragnarök the house!

(アースガルドしておけよ、我はラグナロク・ザ・ハウス!)

再び和訳しづらいラインが出てきました。まず、「keep your guard up」で「攻撃に備えてしっかり身を守っておけ」という意味になります。これと北欧神話の王国「アースガルド」がかかっています。さらに、「rock the house」で「盛り上げる」という意味のスラングになります。それと、北欧神話での最後の戦争「ラグナロク」がかかっています。つまり、この2行は北欧神話に登場する用語がHIPHOPのノリとうまく調和されているわけです。

 

You tongue kiss your sister! That's grosser than a Gorgon!

(姉とディープキス?それはゴルゴンよりグロテスクだ!)

ゼウスは自分の姉である女神ヘーラーと結婚しました。この事実を、ギリシャ神話のゴルゴンのグロテスクさに喩えています。ゴルゴンは、髪の毛が蛇の三姉妹の怪物で、先ほど出てきたメドゥーサもそのひとりです。ちなみにヘーラーをモノにしようとしたとき、ゼウスはカッコウの姿になっていたそうです。まさにshape-shifting rapistですね。

 

I'm the thunder down under, nailing Natalie Portman!

(オーストラリアの雷にナタリー・ポートマンは釘付けだ!)

トールを基にしたアメコミ「マイティー・ソー」の映画版では、ソー(トール)はオーストラリア生まれの俳優クリス・ヘムズワースに、ジェーン・フォスターはナタリー・ポートマンによって演じられました。ゼウスのへんてこな恋愛とは違い、トールの恋愛はすばらしいものであると言っています。

「nailing」=「釘付け」はトールの武器のハンマーともかかっています。

 

Who would ever worship someone as abusive as Zeus is?

(誰も崇めないぞ、こんな暴力的な神様)

もう何度も出てきていますが、ゼウスは色んなものに化けて女性と関係を持とうとしました。そんな神を崇める者はいるのだろうか、とトールは言っています。

 

You're ruthless to humans. Your crew is like the clash of the douches,

(人類にも無情で、仲間はクソ野郎同士の戦いじゃないか)

ゼウスの息子ペルセウスを主人公にした映画「Clash of the Titans」とかかっています。ゼウスをはじめとするオリュンポスの神たちがいつも争いをしていることをDISっています。また、ギリシャ神話の神々は人類に対する思いやりが欠けているように描かれることが多いようです。

 

Ruling over the Greeks: a people weak and frightened.

(か弱いギリシャ人たちはお前を恐れている)

ゼウスが統制しているギリシャの人々は、その無慈悲な統括に恐れをなしているということをトールはDISっています。

 

I'd spit in your face, but you'd probably like it!

(お前の顔に唾をかけてやる、それもお前の趣味なんだろう?)

ゼウスの性的異常をトールは突き続けています。

 

 

1of3はここまで

2of3はこちら

 

この記事はEpic Rap Battles of History WikiおよびGeniusを大いに参考にしています。

引用部分はEpic Rap Battles of History Wikiから引用しています。

 

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