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Epic Rap Battles of History徹底解説

海外発のYouTubeシリーズ、Epic Rap Battles of Historyを日本語で解説します。

【EPICラップバトル解説】ホラー作家対決 スティーブン・キング vs エドガー・アラン・ポー (前半)

Season 3 ep9 Stephen King vs Edgar Allan Poe


ホラー作家対決!2014年6月2日公開

1947年生まれ。アメリカ合衆国のホラー作家。「シャイニング」や「ショーシャンクの空に」の原作者として有名。

1809年生まれ。アメリカ合衆国の小説家、詩人。「モルグ街の殺人」などの推理小説や、「大鴉」などの詩で知られている。

 

 

リリック解説

 

[Edgar Allan Poe 1st verse]

 

Once upon a midnight dreary, as I spit this weak and weary,

 (ある陰気な真夜中 私は疲れきったこいつにラップをかまし)

冒頭のこのラインは、ポーの詩「大鴉」の冒頭「Once upon a midnight dreary, while I pondered, weak and weary」(ある陰気な真夜中 私は疲れきって考えこみ)のパロディーとなっています。「疲れきっている」人物が、「自分」から「ラップ相手」に変わっているのが面白いですね。

 

I will choke this joker with a trochee till his cheeks are teary! (Ahh!)

 (強弱格でこいつの首を絞め、頬に涙を伝わせるのだ)

「強弱格(トロキー)」とは、英語の詩に使われるリズムで、アクセントの強い音のあとに弱い音がくるリズムのことです。これはポーの詩「大鴉」で使われています。

面白いのは、このラップの最初の2行も、強弱格を利用して書かれているということです。

Once upon a midnight dreary, as I spit this weak and weary,

I will choke this joker with a trochee till his cheeks are teary!

ラッパーWatskyのこだわりがみられます。

 

But y'all don't hear me, all should fear me!

I'll forever be better, you'll never be near me. Your books are as eerie as Beverly Cleary!

 (お前は私の真価をわかっていない 誰もが震え上がるはずなんだ

お前は永遠に私に追いつけない お前の著書の怖さはビバリー・クリアリー並だ)

すぐれたホラー作家の条件とは、読者を怖がらせられるということです。ポーは「私の話を聞けば誰もが怖がるはずなのにお前は怖がっていない つまりお前は私の話の良さすらわかっていないんだ」と言っています。

ビバリー・クリアリーとは、アメリカ合衆国の児童文学作家で、ホラーとはほど遠い作風の作家です。つまり、ポーは「お前の本はまったく怖くない」と言っているのです。

 

You're a faux Bram Stoker, so scram, the show's over.

 (このブラム・ストーカーもどきめ さっさと出て行け もうショーは終わりだ)

ブラム・ストーカーとは、「ドラキュラ」を著したことで有名な小説家です。「お前は所詮ブラム・ストーカーの真似事だ」と言っています。ちなみにスティーブン・キングは、各年のすばらしいホラー小説に贈られる「ブラム・ストーカー賞」を何度も受賞しています。

ショー、つまりラップバトルは私の勝ちだからもう出て行け、と諭しています。

 

Your flow's so-so, Poe's poems pwn posers! (Snap!)

 (お前のフロウはそこそこだ ポーのポエムは偽物に圧勝するのだ!)

「pwn」はもともと「own」のスペルミスから生まれたスラングで、「打ち負かす」「支配する」のような意味があります。

ここでポーは語頭の子音を合わせる頭韻法を使っています。(Pで始まる単語が連続している) この手法は「大鴉」でもたびたび登場します。

 

I wrote them locked in a cave, while I sobbed in a rage.

(私は怒りにむせび泣きながら、ほら穴に閉じ込められて本を書いた)

ポーは自身の作品のほとんどを、孤独な状態で執筆していました。

また、ほら穴のくだりは、ポーの短編「アモンティリャードの酒樽」の内容に由来しています。

 

The Tell-Tale Heart beats soft in its grave, while this jerk just beats off on a page!

(告げ口心臓が墓場で脈打つ一方、この野郎はページに向かって××××してるだけだ!)

「告げ口心臓」とは、ポーの短編のひとつです。ネタバレになりそうですが、「殺した後も心臓が鳴る」というくだりが登場します。

「私の作品ではそのようなことが起こっているが、お前の執筆は、ただの××××だ」と言っています。beatの意味を利用したうまいラインです。

 

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[Stephen King 1st verse]

 

Oh, you want to talk shop, you gothed-out fop?

Go back to Hot Topic and shop for a top!

 (仕事の話がしたいのか、ゴシック男子?

ホットトピックに戻って上着を探してな!)

ポーが執筆業の話をするので、キングは受けて立とうとしています。

「fop」とは、ちょうどポーが生きていた19世紀に使われたスラングで、「ファッションに気を遣う気取り屋」のような意味合いがあります。ポーの陰気な作風は、ゴシックファッションと通じるものがあります。

ホットトピックは、アメリカ合衆国のゴシック系の衣服や装飾品を取り扱う企業です。

 

There's a melancholy alcoholic laughingstock,

 (憂鬱なアル中の笑いものがいるぞ)

ポーはアルコール中毒が原因で死亡したといわれています。

 

In the King's house; now watch the Castle Rock!

 (キングの館で 城が揺れ動くさま(キャッスル・ロック)を見ろ!)

しゃれが含まれています。「スティーブン・キングの館」つまり「の館」ということは「城」を意味します。つまり、「私の城(=私のラップ)がお前を圧倒するさまを見ろ」ということです。さらに、「Castle Rock」とは、スティーブン・キングのさまざまな作品に登場する架空の街です。

「watch the castle rock」=「城が揺れ動くのを見る」と「Castle Rock」がかけられているのです。

 

Pouty little poet with an opiate affliction.

(ふくれっ面の詩人は麻薬に苦しむ)

陰気なポーの作風を「ふくれっ面」と表現しています。

また、ポーはアルコールだけでなく、麻薬も使用していたともいわれています。

 

I'm a workaholic with a fiction addiction.

 (私は創作に溺れる仕事中毒さ)

キングは非常に多作なことで有名です。ポーの中毒と比較して、自分は作家の仕事におぼれているのだ、と言っています。

 

I'm making dedicated readers shivery and jittery,

Feel that Rage and Misery!

 (私は熱心な読者たちをぞくぞくさせる

さあ 怒り苦しみを感じろ!)

キングには熱心なファンがたくさんいます。

ここで再びしゃれが登場します。「Rage」(邦題: ハイスクール・パニック)も「Misery」(ミザリー)もキングの小説のタイトルです。ここから怒涛のタイトルオンパレードです。

 

You better start Running Man. You're in deep poo, Poe.

I'm a mad dog, fangs Shining, Cujo.

Tommyknock you down till you can't Stand up.

 (逃げたほうがいいぜ、ポー、そこは肥溜めだ

私は輝く牙の狂犬、クージョだ

トミーノックダウンすればお前は立ち上がれない)

先ほどに続き、キングの小説名を使ったしゃれがどんどん登場します。

「Running Man」(邦題: バトルランナー) <-> 「You better start running, man.」(逃げたほうがいいぜ、メーン)

「Shining」(シャイニング) <-> 「fangs shining」(輝く牙の)

「Cujo」(クージョ) これはそのままですね。狂犬病にかかった巨大な犬の話です。

「The Tommyknockers」<->「knock you down」(お前をノックダウンする)

「The Stand」<->「you can't stand up」(お前は立てない)

Zach Sherwinの言葉遊びのうまさがそのまま表れています。

 

You're as soft as Po, the Kung Fu Panda!

 (お前はカンフー・パンダのポーのようにヤワだ)

カンフー・パンダ」は、アメリカ映画で、主人公のジャイアントパンダの名前がポーなのです。同名ということで比較されています。「soft」には「柔らかい」のほかに「弱々しい」のような意味があり、パンダの柔らかさとかけられています。

 

Racks on racks 'cause I pen fat stacks of frightening writing, have you seen the pile?

 (どんどん積まれるぜ ペンが生み出す恐ろしい本と金の山を見たことあるか?)

ダブルミーニングです。「I pen fat stacks of frightening writing」には「山のような恐ろしい本を書く」とも「恐ろしい本を書いて多額の金を稼ぐ」ともとれます。(「fat stacks」には「多額の金」という意味のスラングがある) キングは多作かつ売れっ子なので、本も金もどんどん積まれていくわけです。

 

I can even take a break from my routine style.

Crank out a Shawshank or a Green Mile.

 (いつもの作風をちょっと変えることだってできる

生み出したのがショーシャンクやグリーンマイル)

キングはホラー以外の作品でも成功をおさめました。代表的なものが「ショーシャンクの空に」(原作タイトルは「Rita Hayworth and Shawshank Redemption」(刑務所のリタ・ヘイワース))、「グリーンマイル」です。

 

Masque of the Red Death, barely blood curdling.

Pit and the Pendulum, not even unnerving.

 (赤死病の仮面なんて全然怖くない

落とし穴と振り子もハラハラしない)

ポーの短編「赤死病の仮面」「落とし穴と振り子」をディスっています。ホラー作品にとって「怖くない」というのは致命的なのです。

 

Perving on your first cousin when she's thirteen years old? Now that's disturbing!

(当時13歳だったいとこを抱いた? それが一番気持ち悪いな)

ポーは自らのいとこであるヴァージニア・クレムと結婚しました。当時ポーは27歳、ヴァージニアは13歳という若さでした。キングは「お前のホラー小説はまったく怖くないが、その事実こそが怖い」ということを言っています。

 

 

前半はここまで

後半はこちら

 

この記事はEpic Rap Battles of History WikiおよびGeniusを大いに参考にしています。

引用部分はEpic Rap Battles of History Wikiから引用しています。

 

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