Epic Rap Battles of History徹底解説

海外発のYouTubeシリーズ、Epic Rap Battles of Historyを日本語で解説します。

【EPICラップバトル解説】新旧アーティスト対決 モーツァルト vs スクリレックス (前半)

Season 2 ep17 Mozart vs Skrillex


新旧アーティスト対決!2013年4月8日公開

1756年生まれ。オーストリアのクラシック作曲家。幼いころから音楽の才能を発揮し、神童と呼ばれた。

  • スクリレックス(Skrillex) - 演者 : EpicLLOYD

1988年生まれ。アメリカ合衆国エレクトロニカミュージシャン。

 

 

リリック解説

 

[Skrillex 1st verse]

 

スクリレックスのターンから始まります。トラックはスクリレックスらしいダブステップ風味です。

 

My name is Skrillex, man! Welcome to the Devil's Den!

 (俺の名前はスクリレックス 悪魔の巣へようこそ)

スクリレックスのCD「My Name Is Skrillex」、曲名「Devil's Den」からきています。

 

I'm a scary monster stomping this sprite in frilly pants!

 (俺はフリルのズボンを履いた妖精を踏みつぶす恐ろしい怪物だ)

「Scary Monsters and Nice Sprites」というスクリレックスのCDからきています。モーツァルトのことを「フリルのズボンを履いた妖精」と例えて、服装をディスっています。

 

You're a weirdo, Wolfie! You're into powdered wigs and poop!

 (お前は変人だ、ウォルフィー!粉がかかったかつらと大便に夢中)

モーツァルトの本名は「ウォルフガング・アマデウスモーツァルト」で、映画「アマデウス」では、モーツァルトは奥さんに「ウォルフィー」と呼ばれていました。

また、当時の音楽家にとって、粉をふったウィッグは正装のひとつでした。

さらに、モーツァルトは、大便などの幼稚な笑いを好む変人であったことが知られています。

 

And your cousin blew notes on your little Magic Flute! 

 (そんでお前のいとこはお前の小さな魔笛を奏でやがった)

モーツァルトのオペラ「魔笛」からきています。モーツァルトは実のいとこであるマリア・アンナ・テークラ・モーツァルトと関係をもちました。モーツァルトのあれを「小さな魔笛」と例えているのです。

 

Your daddy issues make the Jackson 5 look like the Family Circus!

 (お前のヤバいパパに比べればジャクソン5なんてまるでファミリーサーカスだ)

モーツァルトの父親は、幼少時のモーツァルトに才能を見出し、ヨーロッパじゅうを旅して、我が子にピアノ演奏を披露させていました。しかし、非常に厳格で、レッスン中には暴力もふるわれていたようです。

一方、ジャクソン5といえば、ジャクソン・ファミリーの兄弟たちで結成されたグループ。父親のジョセフ・ジャクソンがマネージャーとなり、厳しい音楽の指導をしていました。境遇が似ていますね。

そして、ファミリーサーカスとは、家族を描いた、非常に無機質な絵柄の漫画です。これについては私もよく知らないのですが、おそらくそのような「厳しさ」「暴力」とは無縁の世界の漫画なのでしょう。

つまり、「お前のパパは厳格すぎだ!ジャクソン5なんて比べ物にならない!」と言っているわけですね。

 

You might have been a genius, but you died baroque and worthless!

 (昔は神童だったのかもな、でも貧乏で価値のないまま死んだ)

モーツァルトは幼少期から神童と呼ばれていましたが、死ぬときには貧乏だったと考えられています。借金もしていたらしい。

また、ここで英語のしゃれが登場しています。baroque(=バロック - モーツァルトバロック音楽からも影響を受けた)とbroke(=貧乏)がかけられているんですね。

 

I'm rich, acclaimed and famous! I'm on playlists! I'm the A-List!

 (俺は金も名声も知名度もある プレイリストにも入る一流だ)

スクリレックスは年収10億以上といわれており、若者からの絶大な人気を誇っています。

プレイリストとはリスナーのiPodとかDJの曲順とかそういったプレイリストのことを言っているのでしょう。「プレイリストに俺の曲はいつも入っているんだぜ」と言っているわけです。

「A-List」とは、一流ハリウッドスターとか芸能人に使われることばです。貧乏なモーツァルトと自分を対比しているのです。

 

You're the lamest! Kiss my a**, A-A-A-A-Amadeus! 

 (お前はダサすぎるぜクソ野郎 アアアアアマデウス!)

元々の意味ではないようですが、「lame」はスラングで「だるい」「つまらない」「ダサい」というような意味があります。クラシック音楽はカッコ悪いぜ、と言っているわけです。

また、「Kiss my a**」は直訳すると、「俺のケ×にキスしろ」という意味で、相手を侮辱する汚い言葉です。モーツァルトは「俺の尻をなめろ」という曲を作ったことで知られているので、そことかかっているのでしょう。

「アアアアアマデウス!」というのはファルコの「ロック・ミー・アマデウス」というモーツァルトを茶化した曲からきています。曲中では「アマデウス」(モーツァルトの名前)を連呼しており、「スススススーパースター」のようなリズムが特徴的です。ダブステップの、サンプルをぶつ切りにするスタイルにも通じていて面白いですね。

 

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[Mozart 1st verse]

 

ここからはモーツァルトの反撃です。トラックはクラシカルな雰囲気に変わります。音楽も凝っていますね。

 

Was that a verse, or did you just get the hiccups?

 (今のはラップか? それともお前のしゃっくりか?)

スクリレックスの「アアアアアマデウス!」をしゃっくりに例えています。ダブステップにはああいった短時間で同じサンプルを繰り返す手法がよく出てきます。

 

I'm a prodigy, Sonny, and I'm about to smack a bitch up!

 (私は神童だよ坊や ひっぱたいてやろう)

モーツァルトは神童(=Prodigy)で、エレクトログループ「Prodigy」の「Smack My Bitch Up」というヒット曲とかかっています。

また、Sonnyとはスクリレックスの本名で、「坊や」という呼びかけの言葉としても使います。訳しきれないですよね。

 

My music is 200 years old, and it's still excellent!

In two more months, the world will forget about your Skrill-excrement!

 (私の音楽は200年経ってもなお素晴らしい

2ヶ月で世間から忘れ去られるスクリレッ・クソ)

「私の楽曲は世代を越えて愛されているが、お前の曲はすぐに忘れ去られる」と言っています。現代のポップミュージックの賞味期限は早いものです。

Skrill-excrementというのはSkrillexとexcrement(=排泄物)をかけた実際にはない言葉です。みごとに「still excellent」と韻を踏んでいますね。

 

I can't believe the way you dress when you dubstep out of the house!

 (お前の外出時のファッション信じられないよ)

 スクリレックスの人前に出るには奇抜すぎる髪型や服装をディスっています。当時の偉い作曲家からすれば酷い格好でしょうね。

また「step out」(=外出する)と「dubstep」(=ダブステップ)がかけられています。

 

You're like an emo Steve Urkel and you (ooh!) reek of dead mouse!

 (まるでエモファッションのスティーブ・アーケルだ そして死んだネズミの臭いがするぞ)

スティーブ・アーケルとは、「Family Matters」というコメディードラマの登場人物で、かなり強烈なキャラクターのようです。(日本で放映されたことがないので誰も知らないか?) ともあれ、「このキャラクターのエモファッション(ゴシックファッション)バージョンがお前だ」と言っているようです。

dead mouseは、有名エレクトロミュージシャン「deadmau5」とかかっています。sクリレックスの曲はdeadmau5から強く影響を受けています。

 

I am the world's greatest composer! No one knows what you are, 

 (私は世界一の作曲家だ お前が何者なのかは誰にもわからない)

これは説明不要でしょう。モーツァルトに比べればスクリレックスの知名度は劣ります。

 

Except a lonely little troll who knows how to press a space bar! 

 (スペースキーの押し方しか知らないかまってちゃんを追い出せ!)

スクリレックスのやっている音楽は主にコンピューターで製作されており、ジャンルによっては、鍵盤が弾けずとも、マウスやキーだけで完成します。したがって、モーツァルトは、「お前の音楽はスペースキーを押すだけでできるんだろ?」といった意味のことを言っています。

trollとは、インターネットでわざと馬鹿のフリをした書き込みをするなどして掲示板やコメント欄を荒らす人のことを指します。スクリレックスはインターネット上での活動も大きいのでこのような言われ方をしているのでしょう。

 

 

前半はここまで

後半は→こちら

 

この記事はEpic Rap Battles of History WikiおよびGeniusを大いに参考にしています。

引用部分はEpic Rap Battles of History Wikiから引用しています。

 

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